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香りが奏でる日本文化の調べ
2012/11/20(Tue)
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先日、つつがなくお開きにさせて頂きました金澤老舗料亭つば甚さまでの
特別企画「和のアロマテラピーレッスン」・・・

残念ながらご都合で参加出来なかった方々や、東京に住む友人達からも
レッスン前には、頑張って下さいねとメッセージを頂いておりました。
皆様からの温かい応援の言葉が励みに、この度も無事に終えることが出来、
心から感謝しております。
当日のレッスンの様子を紹介させて頂きたいと思いますので、
宜しければお付き合い下さいね。

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こちらは、控室より本席にご参加下さる皆様をお迎えする前に、
下座にて私が心鎮めている時に、女将が撮って下さっていた写真です。
素敵なお写真でしたので、送って頂きました。
また皆様からも、早々に綺麗な記念になるお写真を送って頂き、本当にありがとうございました。

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この度のレッスンのため、つば甚さまがご用意下さったのは、「月の間」・・・

芥川龍之介、三島由紀夫、伊藤博文が愛した「月の間」には、
金沢の御座敷の特徴の紅殻(べんがら)を使った赤い壁・高い天井が格式を感じさせ、
金沢城から拝領された窓枠がはめてあります。
書院からは月を観賞することが出来、「月を愛でる書院」といい、
明治の元勲・伊藤博文はこの部屋からの眺望をことのほか愛し
「風光第一楼」という揮毫(きごう)を残されております。

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このような由緒正しい歴史感じるお部屋をご提供頂き、伊藤博文の書を正面に、
是が非でも自分自身に恥じぬ時間をお届けせねばと、
背筋が伸びる心持で緊張しながら、ご挨拶をさせて頂きました。

皆様がお帰りになられた後、末席より自分が座らせて頂いた場所を眺めては、
改めて皆様と過ごさせて頂いた時間が夢のように思いました・・・

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アロマテラピーに出逢い、心と身体の働きを高めてくれる自然の持つ力に感銘を受けた時、
「こんなに素晴らしい香りの魅力は、是非多くの方々に知って頂きたい」という気持ちが、
心の奥から強く湧き上がりました。同じように苦しんでられる方に伝えたいと・・・
伝えるためには、インストラクターの資格を修得する必要もあり、
アロマの学校に通い、薬科大学卒業以来久しぶりに猛勉強し(笑)
(精油のラテン名や含有成分の化学合成式や、薬理学、生理解剖学等も覚える必要があります。)
無事にインストラクターの試験も合格し、いざ教室を始めてみようと思った時、
どのように教室を開いたらよいのかと迷いました。
どこか会場をお借りする余裕もなく、自宅で始めようと思った時、
普通の賃貸マンションの一室ですので、
「こんなところに来て頂くの、恥ずかしいわ。。。」と家族に洩らしたことがありました。

その時、家族から「・・・アロマとテーブルさえあれば、レッスン出来るんやろ?
その人自身が輝いとったら、そこは最高のステージになるんと違うん?」と言われ、
ハッと私の少し違うところに逸れた気持ちを恥じ、
初心に戻り何が大切か気付かせてもらいました。

それ以来、「皆様に笑顔になって欲しい、ホッと和んで頂きたい。」と
自分なりのモットーを持ち、オリジナルのレッスン内容を考え、
自宅にて教室を続けさせて頂いてきたのですが、
昨年、今年は、御縁頂いた多くの方々のお力添え、ご協力にて、
私にとって大きな舞台で、アロマを伝えさせて頂く場を頂き、本当にありがたく思っております。

いつも皆様にもお話させて頂くのですが、私は、自分が前で話すより、
人の話を伺う方が好きなので、何故今こんなに緊張してこのようなことをしているのだろう・・・
と思うのですが、生死の原点を見つめ直した時、、
私が知っていることをお伝えすることで、誰かのお役に立つことがあるかもしれないと思うと、
感謝と共に力が湧きあがってくるのです。。。

この度は、つば甚の皆様、最高のステージを本当にありがとうございました。

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こちらは、本席に飾って頂いた香合で、つば甚さまではお料理を盛るためにも使われているそうです。
一つ一つの香合に込められている想い、由縁など女将よりお話頂きました
季節感溢れる、おめでたい美意識溢れる和のお道具・・・
愛らしく上品で素晴らしいですね。
これだけの香合を一同に会して拝見させて頂く機会は、なかなか無く
江戸時代より続くつば甚さまこその貴重な経験をさせて頂き心より感謝です。

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こちらは、金沢の伝統工芸である九谷焼の香炉で、
人間国宝の三代目徳田八十吉先生のお作品だそうです。
美しいものを目に触れさせて頂くと、心が豊かになりますね。

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レッスンでは、日本を彩る香りの文化についてお話させて頂きました。
平安時代は、香りは自己表現のアイテムであり、いかに自分のオリジナルの香りを、
調合し表現するかが大切でした。
私も、アロマの精油で様々なブレンドを試み、普段の生活で愉しんでおりますが、
今も昔も、五感で感じる喜びというものは変わらないのだな・・・とロマンを感じております。

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香木を焚いて香を楽しむことは、聖徳太子の飛鳥時代からといわれています。
宗教的な側面も大きかったでしょうが、何より「良い香りを楽しむ」という、
人間の快楽を満足させるものであったでしょうね。
香木の香気は化学合成品と違い、精神的な落ち着きや病気の予防のような漢方薬的な効用もあります。

参加下さった皆様からも、レッスン後、「毎日忙しくとても疲れていたのですが、
何だか今日は元気になりました。」という嬉しい感想も多く頂きました。

今日、「アロマテラピー」という植物から抽出した油成分(エッセンシャルオイル)を温め
香りをたたせ、その香気を吸入することで、さまざまな医療効果を得ることが注目されていますが、
香道は日本古来の「ジャパニーズ・アロマテラピー」とも言えますね。

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クラフトタイムでは、白檀末と和精油の柚子を使用して匂い袋をお作り頂きました。
白檀は、インドマイソール産の最高級のものをご用意したのですが、
本物の白檀の香りに触れ、皆様感激下さいました。
食物でも何でも、「本物」に触れると、身体全身で、細胞全てが喜びますよね。

匂い袋には、お世話になっている自遊花人の廣瀬由利子先生にお作り頂いた
おめでたい加賀水引を、結んで頂きました。
廣瀬先生は、日本のみならず国際的にもご活躍で、
家庭画報の英語版でもご紹介されており、皆様と御本を見ながら感激しておりました。

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そしてこちらは、「藤袴」の花・・・
平安時代の女性達も、乾燥させたものを十二単衣の胸の中に忍ばせたり、
源氏物語でも、夕霧が玉鬘に求愛の歌を届ける際、手折った藤袴の花と共に差し出す件があり、
この時代から続く原種の香りを、皆様にも聞いて頂きました。
私も、アンフルラージュ法で、したためた藤袴の香りを聞く度に、
京都のいにしえに想い馳せています。
(藤袴の原種は、現在絶滅危惧種であり、京都にて大事に保全されております。)

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和の香りのレッスンの後は、親睦を兼ねた昼食会を・・・
この度、お床に飾って頂いた御軸にちなみ、野山にて紅葉狩りを愉しむという趣きで
旬の食材に溢れたつば甚さまの見目麗しいお食事を頂きました。
木の葉の飾り切りも、細やかで美しく魅入ってしまいました。
川村総料理長はじめ板場の職人の方々の、日々の心意気・・・素晴らしいですね。
また先日、金澤でも香箱カニが解禁になり、今年も楽しみにしておりましたが、
私も美味しく縁起の良い初物を頂きました。
皆様と和やかな“口福”のひと時を、過ごさせて頂きました。

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こちらの籠の柄の器は、香りのレッスンにちなみ、特別に選んでお使い頂きました。
平安時代には、「薫衣香くのえこう」と言い、伏籠(ふせご)と呼ばれた竹かごに、
着物をかけて香りを薫きしめましたのですが、
この時代の女性も、日常的に香りを纏って生活しており、文化的な成熟度が慮られますよね。

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心を澄ませ、香りを聞くとは、
全ての神経を研ぎ澄ませ無心になるひと時ですね。
日本人の心のふるさとであり、懐かしさ甦る和の香りに包まれ、
穏やかで瑞々しさ溢れるお気持ちになって頂けたなら幸せに思います。

またこの秋の自然のうつろいの景色と共に、つば甚さまでの和やかな一日を
皆様の記憶の片隅に留めて頂ければ幸いで御座います。

ご参加下さった皆様、つば甚の皆様、この度は誠にありがとうございました。
感謝を込めて・・・

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